温泉天国・九州でもダントツに温泉宿が多く存在し、湧出量も群を抜く温泉大国大分県。別府・湯布院・日田・天ヶ瀬・くじゅう・筋湯・宝泉寺・長湯…、とにかく名湯・秘湯・珍湯・奇湯、なんでもござれ、「大分歩けば温泉に当たる」といってもなんら過言ではない。温泉ファンなら一度は足を運んで欲しい県だ。

周囲を1000m級の山々が囲む由布院温泉は、秀峰・由布岳と霧深い金鱗湖に代表される、風光明媚な温泉地。秀峰・由布岳は豊後富士とも称され、その優美な姿は街のシンボルともなっている。また湯布院の風物詩でもある朝霧を生むのが、この金鱗湖。湖底から冷泉と温泉が湧いているため、冬場でも水温が高い。そのため冷え込んだ明け方には湖面から霧が発生し、湯布院の街は瞬く間に幽玄の美に包まれる。この美しい自然とともに観光客を魅了しているのが、センスの良いショップやカフェ、美術館といった観光スポット。これらの個性的な存在が、湯布院の街を華やかに彩る。訪れる度に新たな発見がある、それが湯布院の一番の魅力なのかもしれない。

湯布院よりやまなみハイウェイを経由して1時間弱、黒川温泉より約20分、阿蘇より1時間弱と、九州の人気観光地を巡るに最適の立地とロケーションを要するエリアだ。特にそのロケーションたるや、高原の草を食む牛たちの牧歌的な風景、1千メートル超級の山々の連なり、大地の緑と空のスカイブルーが織り成すコントラスト、日本とは思えない壮大な原風景が広がっている。そんな自然に育まれているのは放牧牛だけではない、「豊のシャモ」と呼ばれる地鶏は、歯ごたえ、味、風味ともにバランスがよく、ぜひとも味わって欲しい逸品だ。山々を一望する露天風呂を備える「久住高原コテージ」、自然と調和した木造温泉リゾートホテル「レゾネイトクラブくじゅう」、こんこんと湧き出る硫黄分を含む冷泉で知られる「寒の地獄温泉旅館」が代表的だ。

大分県を代表する観光地、湯布院と別府に連なる由布、鶴見の連山。その山麓に広がる塚原高原は、草原と山並み、恵まれた自然の景勝地だ。閑静な森の中にはペンションや貸別荘、お洒落な温泉宿が点在する。また、西日本一の酸性度を誇るといわれる薬湯として名高い塚原温泉や、高原ならではの乗馬倶楽部、陶芸や木工絵画などの工房も目に付く。’07年より地域に根ざしたイベント「塚原高原MATURI」を開催。高原の夜がベリーダンス一色に染まり、幻想的な世界へと誘ってくれる。同じ湯布院町とはいえ由布院温泉や湯平温泉とは一味違った自然豊かなエリアである。

湯平といえば、やはり石畳の坂道だろう。江戸の昔よりこの地を見続けてきた石畳の坂道は、今では湯平のメインストリート。両側には、40軒あまりの温泉宿が軒を連ねている。街を覆う鄙びた風情や情緒ある佇まいは、この石畳に依るところが大きい。またこの道の裏を流れる花合野川も、湯平を語るうえでは外せない。山あいに響く川のせせらぎが、遠い日の記憶までをも呼び覚ます。ほのぼのとした雰囲気が旅人にどこか懐かしい想いを抱かせる。またここは、古くからの湯治場としても有名で、昔ながらの共同浴場が観光客に人気だ。夕暮れには、この石畳の街で湯巡りを楽しもう。黄昏時のこの街には、時間を越えてゆくような、そんな不思議な魅力がある。

湯布院より車で約30分の北側に位置する盆地「あじむ」は、安心院ワインの原料となるぶどうの産地であり、スッポン料理、鏝絵(こてえ)の町としても知られている。特にこのエリアにはスッポン料理を供する旅館・民宿が多く、近年コラーゲン人気により、女性客が美肌効果を期待しての女性客の利用も多いとか。都会に比べて、値頃感のある料金設定も人気の理由かもしれない。また、旅館によってはスッポン鍋セットも販売しており、取り寄せることも可能だ。また、鏝絵という、今では希少な左官職人が壁を塗る鏝を使用して書いた絵が、安心院の町では家屋の壁によく見かけられる。お土産はやっぱり種類豊富な安心院ワインをオススメする。

地球上にある泉質全11種類のうち、なんと10種類を有する別府。湧出量は日本一、世界では第二位を誇り、まさに世界に名だたる湯天国だ。そんなこの町は大きく8つの温泉地に分けられ、通称“別府八湯”と呼ばれている。この豊富な大温泉地帯の中で88湯をめぐるスタンプラリー「別府八湯温泉道」は、全国各地から温泉通がこぞってチャレンジするほどの人気ぶり。このほか、各地をじっくりと回る散策プログラム「別府八湯ウォーク」が通年実施されるなど、何度訪れても新鮮な町、それが別府だ。レトロな街並みを色濃く残し、常に進化し続ける別府の町は、訪れる人を常に魅了してやまない。

日田は江戸時代、徳川幕府の天領(直轄地)として栄え、九州の政治・経済の中心として発展した。「九州の小京都」とも呼ばれ、北側に位置する豆田地区は土蔵や格子窓、なまこ壁など、歴史的建造物が並ぶ古い町並み。当時の面影を今に残す豆田町は商家が集中していたこともあり、毎年2月〜3月に行われる「天領日田おひなまつり」では、その栄華を物語るように代々伝わる雅やかな雛たちが一斉に公開される。また、市内の中心を流れる三隈川沿いの隈地区には温泉が湧き、川沿いに面して多くの旅館が立ち並ぶ。眼前を流れる三隈川では鵜飼いが行われ、水面に浮かぶ屋形舟と共に夏の風物詩となっている。

天ヶ瀬温泉は、古くは豊後風土記にも登場した1300年もの歴史がある名湯。玖珠川沿いに湧く掛け流しの湯は、別府、湯布院と並ぶ豊後三大温泉のひとつに数えられる。玖珠川沿いの両岸には大小20余りのホテルや旅館が建ち並び、名物は玖珠川沿いに点在する5つの共同浴場。まるで川に浸かっているような感覚が楽しめる個性溢れる野天風呂は、混浴なので少し勇気がいるものの、一度入れば忘れられない思い出になるはず。また、温泉熱を利用した花の栽培が盛んで、名産のバラの花を使ったバラグッズもある。少し足を伸ばせば「慈恩の滝」や「桜滝」、一願成就で有名な「高塚愛宕地蔵尊」などの観光スポットも点在。

湧蓋山の山懐、筑後川の支流町田川の河畔に位置する温泉地。高速道路のインターチェンジからもアクセスが良いため、訪れる旅行者も多い。本来閑散期である初夏の約1ヶ月間、温泉街を流れる町田川では、源氏ボタルや姫ボタルが乱舞し、その期間中の週末にはイベントも開催され賑わいを見せる。湯量に恵まれているため、豪快な露天風呂やユニークなお風呂を備えている旅館が多い。伝承では約1,000年もの昔の大地震の折、空也上人ゆかりの大杉の根元から湯が湧き出たのが始まりと言われる。地名の由来は、その地に空也上人を祀る寺院、宝泉寺を建立したことに因んでいる。


開湯1000年を越える、歴史ある温泉郷。“筋肉をほぐす湯”ということから“筋湯温泉”と名付けられ、肩こり等に効能があるとされている。この名湯、せっかくなので宿泊先の宿だけでなく、温泉街にある4つの共同浴場でも堪能したい。約2mの高さから湯が落ちる「うたせ大浴場」は、“日本一のうたせ湯” の異名をとる浴場。共同浴場とはいえ、すべて清潔で風情もあり、しっとりと湯巡りを楽しみたい人にもオススメだ。また温泉街から徒歩で約20分の場所には、モクモクと白煙を上げる「小松地獄」がある。地面が裂けたような迫力ある光景は、まさに地獄と呼ぶにふさわしい。このボコボコと震動する大地が、筋湯の湯の良さを雄弁に語ってくれる。

ここ長湯温泉は珍しい炭酸泉の湯が湧く、全国的に見ても非常に貴重な温泉地。浸かれば心臓病や神経痛、飲めば胃腸病などに効果があるという。肌に付く小さな気泡が、炭酸泉の効能高さを証明してくれる。また炭酸泉の湯はその性質から湯温は低めとなり、この温い湯に“長湯”するのが、長湯温泉の正しい楽しみ方なのだ。そんな湯の良さだけでなく、芹川をシンボルとする叙情豊かな風景も長湯の魅力。夏には山間を渡る涼しげな風が、カジカの鳴き声を運んでくれる。また川沿いにある野天「ガニ湯」は、温泉ファン憧れの露天。ここまで間近に川を感じる露天はそうそうないだろう。